夢か現か

何でもない日常の手記.そして遺言書.

新しい世界

私は一時的かも知れないが新しい世界の観測を得た.

目に入る物一つ一つのアウトラインはより鮮明になり,コントラストは高くなった.明瞭でありながらも,何処かボヤけた視界.光は強く,それで居て優しく眼球を突き刺す.カクテルパーティー効果の弱い私でも,煩雑な音の交響の中に一つ一つの個性を見い出し易く成り,振動に奥行を感じる様にすら成った.例えば音楽を聴きながら散歩をすると,歩いて居る自分とは別に,どこかで音楽の世界に引き込まれて居る自分が居る.惹き込まれるのでは無く,私の一部が正しく音楽の中に入り込む.私が音を奏でる訳でも,歌う訳でも無い.それなのに,私はその振動の一つに成り,紛れ込む.

小さな時に体験した夢.私自身が何処までも大きく成ったり小さく成ったりし,体に触れる感覚は硬いのに柔らかい,そんなアンビバレンスの内観.あの感覚を取り戻した気がした.

新しく,懐かしい世界.