今日は
彼女があれ程待ち詫びた春はあっけらかんと散り,
愛おしくも暑苦しい夏は憂鬱に呑まれ,
季節が眠りの備えをせんとする秋は枯葉と共に過ぎ去ろうとして居る.
そんな季節の長い永い休眠期間でもある冬との接続を果たそうとするこの時期に,
晴天の霹靂とでも言うかの様な,
寒空の花火が打ち上る.
今日は,花火が打ち上る.
そんな知らせに胸を躍らせつつも,
高校一年生だった頃の友人*1に放った言葉を思い返す.
「花火を一人で見てみたい.なんと言うか,ノスタルジーがある気がするんだ」
いつからか,私は孤独に郷愁を覚える様になった.
人はきっと,孤独へと,虚無へと還って行く者だと,
そう思った時さえあった.
光があれば影がある様に,
己が心を暗闇と寒さに保つ事により,
その火の花は輝きを増すだろう.
今日は,季節の移ろいを余所目に,
他の誰でも無い,自分自身と共に,
冷たい空に打ち上る,火の花を見に行く.